初恋 ~キミが僕に残したもの~
彼女をふっきろうと努力しなかったわけではない。

でも、それは結局ムダな努力と化した。
僕はいつだって彼女の影を追い、彼女の姿を求めてしまった。
理想を追い、現実との落差に苦しみ、もがき苦しんだ。


彼女以外の女性を愛することが出来なかった。
それが出来ていたら、おそらく、もっと楽に生きられたに違いない。


何が僕をこんなふうにするのか。
何がそうまで駆り立てるのか、今でも答えを見つけられないでいる。


微分積分、確率統計……どんな手段を用いても割り切れないこの想いの公式が、いまなお胸でくすぶり続けていた。



「誠一郎、早くしなさい!」
受付を済ませたぼくを見つけた父親が手招きしていた。
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