空の神衣

どうにもひっこみつかない

「あ~あ、みんな怒ってるだろうなあ…」

 砂漠を放浪しながら、蒼馬は呟く。

 もののはずみではあったが、聖には再起不能になるほどの重傷を負わせてしまった。

 突然手に入れた力に心奪われながら、聖には戦わせたくないと思った。

「ちょっと、ケガさせるだけのつもりだったんだけどなあ…」

 ぶつぶつ言いながら、胸ポケットから青いカードを取り出す。

「オレ、ヒーローになりたかっただけなのに…」

 かっこよく戦いたい。

 それだけだった。

 だが、未知の力に触れた時、直感的に危険だと思った。

 旧来の友を戦わせてはいけない。

 だから、止めようとしただけだ。

「やりすぎたよなあ…」

 倒れて動かない聖の姿を直視できず、蒼馬は脱兎のごとく逃走した。

「こんな物、拾うんじゃなかった」
< 114 / 264 >

この作品をシェア

pagetop