空の神衣
「近くって、こんな砂漠に人なんか…いた!」

 蒼馬がきょろきょろと見回すと、彼方に人影が見えた。

 人影も蒼馬に気付いたらしく、こちらへ向かって来る。

「見いいぃぃつけたあああぁぁぁ~っ!」

 ハイトーンな女の声。

砂を足を取られながら一目散に走って来るのは、蒼馬の知った顔だ。

「げっ、る…ルイ!」

 神逆ルイ。

 蒼馬とは高校で三年間同じクラスで、世話好きな性格からか人望はかなり厚かった。

 ただ少々性格がワイルドすぎるのが災いして、浮いた話とは全くもって無縁だった。

 蒼馬もルイをからかっては、何度ネックロックをかけられたことか。

「しかし、足が浮くほど吊られちまうんだから、怪力だよなぁ…」

 などと回想している間に、ルイは猛然と迫って来る。

「そおぉぉまあぁぁっ!りんりんから話は聞いてるぞおぉぉっ!」

 元々つり目なのが、一段とつり上がっている。
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