空の神衣
 背後で何かが閉じた音が聞こえて、津也は現実の世界に放り出される。

「帰ってきたか…」

 いくつもの戦いを経て見つけたもの、失ったもの。

 燃え残った命が尽きるまでに、どれだけのものを残していけるだろう。

 ポケットからカードを取り出してしばらくじっと見た後、頭上に放りあげる。

 カードは鳥に姿を変えると、彼方へ飛び去る。

「いつか、必要な時がきたら帰ってこい」

 鳥の姿はすぐに見えなくなる。

 津也は足早に懐かしい家にたどり着き、ドアを開ける。

 奥からパタパタと足音が聞こえて、頭に大きな羽飾りをつけた闇珠が駆けてくる。

「もう、遅いじゃない」

 その息遣いが、本当に日常に帰ってきたのだと実感させる。

「ただいま」

 津也は膝を突き、闇珠を抱き締める。

< 263 / 264 >

この作品をシェア

pagetop