空の神衣
 時が経ち、王は老いていった。

 若くあり続けたいという望みだけは、叶うことがなかった。

 王は、自分は夢を見ていると思った。

 自分が老いる歴史など間違っている。

 叶わない望みなどあるはずがない。

 誤りだ。

誤った世界の誤った歴史は、正しく刻み直さなくてはならない。

 思い通りにならない世界など、存在してはならない。

 自分は絶対の存在なのだから。

 正しい歴史を作らなくてはならない。

 それが、支配者としての自分の努めだ。
< 38 / 264 >

この作品をシェア

pagetop