先生、ずっと愛してる。
俺はあまりの嬉しさに勝手に特典まで付けていた。




もちろん、その場でソッコーで考えたんだけど…。




なるべく顔に出さないように…




上原へのキモチを押し殺してきた。




生徒に手を出したら俺はもちろんの事、上原にまで処分が下るだろう。




教師が生徒の未来を踏み潰す事は俺にはできない。




だから、このキモチは俺の心に閉まっておこう。




そう思っていた。




それなのに…




ケガをした上原を保健室に連れて行った時、触れるだけでもドキドキするのに…




『先生…キスして下さい』って潤んだ瞳で俺を見る。




その時の俺は、自分が教師だという事も、上原が生徒だという事も忘れていた。




キスなんて初めてじゃないのに、あんなにドキドキしたのは初めてだ。




どうしたんだろ? 俺…。




傷が残ったら責任とるとか結婚するとか言っちゃって…。




誰が見てもかすり傷なのに一生なんて残るわけない。




生徒には彼女がいるって言ってある。




そう言ってた方が楽だと思って…。




それでも俺を好きだと言ってくる生徒がいる。




いつもうまく断るが、生徒を傷つけるのはやっぱりいい気はしない。




俺に見つからないように、こっそり泣いてる生徒を見てもどうする事もできない。
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