カラフル・バニー

刹那な思い

イチの家に行くのは小学校以来のことだった。少し緊張しているのが分かる。


「さっちゃん、押していいと思う?インターホン」

「押さなきゃ始まらんだろ。覚悟を決めれ」

「だよね…。行くよ」


チャイムは『ピンポン』という、どの家庭にも
ある馴染み深い音を響かせた。


「入っていいぞー」


インターホン越しからイチの声が聞こえた。
あたしは何故かその声に、少し安堵しドアノブを引いた。


「おじゃまします」

「いらっしゃい。お久しぶりね。浬子ちゃん、
早智子ちゃん。もう10年くらい、会ってなかったわよね」

「すぐ出てくのに挨拶する必要ねーだろ。母さん」


イチとイチのお母さんが出てきた。


「ちょっと渚ん家行ってくるわ」


その声とともにドアが押され、あたしたちは静かに会釈をしてから、それに続くように家を後にした。


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