カラフル・バニー
「アイツ…一人暮らしなんだ」


ぽつりと呟くような小さな声でそう言ったイチ。


「アイツって渚?」

「うん。中学生の頃、親が離婚したんだって。親は仕送りだけで渚に会おうともしないらしい。アイツが少しひねくれてるのも、そのせいなんじゃねーの?」


切なそうにして笑うイチの顔。


「おい」


突然響くドスの効いた声。


「何がなんだかわけ分からんのは、私だけか?」


さっちゃんが場の空気も読まず思い切り顔を歪める。


「お前なァ!空気を読め!空気を」

「はあ?何を言っている。空気は吸い込むものだろう」
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