SAKURA



『静先輩!!』



職員室の手前で後姿を見付け、声を掛けるが、嫌そうな顔をして振り向いただけ。


初めての先輩の冷たい態度に尻込むものの、きちんと言わなければと、覚悟を決めた。



『昨日はすみませんでした!


私、ちゃんと勉強します。

先輩と一緒に、試合したいんです!


部活中に勉強のこと考えたり…

それじゃぁ、どっちも上手くいかないってわかったんです。


だから、次のテストまで!

もぉ少しだけ待っていて下さいッ!!』



廊下はザワザワとうるさいが、私たちの周りだけは別の空間が流れている。


頭を下げている私には先輩の足しか見えず、どんな表情をしているのかはわからない。



…許してくれない??



不安が押し寄せてくる。




「美波?」


突然発せられた先輩の言葉に、体が硬直するのがわかった。


*
< 10 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop