中絶~僕は君を殺したい~
1‐2タダシくん



ぴっちりジョウギではかったようにそろえたまえがみ。ぎょろり、とした目でおれを見上げた。


めせんを合わせるために中腰にする。


やや高めにめをあげてその子、タダシくんは言う。


「12352462585…」


目の中におれはいないようだ。


タダシくんは数字に夢中になっている。


自閉症(じへいしょう)はわかりやすく言うとちがうじげんにとんでしまっている数字はかせってやつだ。


おれがめのまえにいるのにいない。


説明がむずかしいな。

つまりおれらはかべやゆかと同じってこと。タダシくんの世界じゃタダシくんかちがうものかでわけられる。


シンプルなのはいつもわかりやすくていいな。


…ただ。


まぎらわしいのはやめてほしい。


タダシくんが数字を言うたびにおれがよばれている気になる。

なぜならおれの名前はいつき、ここではいっちーとよばれているからだ。
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