中絶～僕は君を殺したい～

9‐5 さようなら




小田が入った理由がわかった。



今月末で藤田さんが仕事をやめるみたいだ。


じぶんのしせつを作るとの話があった。



藤田さんがあいさつをする。



ぼくらは藤田さんにさようならを言うと笑ってまだだよ、と返した。



ゆめがないからくだらないことを考えてしまうのかな、と思う。



ぼくのゆめか…。



ただなんとなくはたらいているだけだ。



ゆめなんてない。



ただこのままではダメだと思う。



月給15万では暮らせない。



資格でもとろう。



そうすればかぞくが安心してくらせる。



…家族か。



ぼんやりとかぞくの絵が見えた。



ぼくら三人。



どうしてそんなにくらいひょうじょうをしているんだ。



泣きそうな目でぼくを見上げるんだ。



ぼくはフリスクケースを取り出してひとつぶ飲んだ。