この胸いっぱいの愛を。



私はその声に、ビクリと身体を震わせた。

その震えが伝わったのか、将兄が私を抱き締める腕に力を込める。


そして、次の瞬間。






「てめぇら………」

背後で、ドスのきいたような低い声が響いた。




「ふざけんなよ……」


それは、間違いなく駿河先輩の声。

尋常じゃない気迫に、倉庫内は水を打ったように静まり返った。

先輩はゆっくりと立ち上がって、さっきまで笑っていた男達に近付いていく。


「駿河、何を………」

将兄の声も、怒りで煮えたぎっている先輩には届いていない。




後退る三人の男子生徒と、隅で寄り添い怯えている二人の女子生徒。








────カターン。


壁に立て掛けてあった棒状の何かが、床に倒れて音を立てる。

それが、きっかけだった。















「ふざけんじゃねぇえぇえええ──────────!!!!!」




駿河先輩が物凄い形相で叫びながら、男子生徒に襲い掛かった。




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