この胸いっぱいの愛を。
……桃香が、俺の名前を口にした。
それだけで、胸が締め付けられる。
俺の夢でも、見ているのだろうか?
「桃香……すまない……」
俺は、謝ることしかできなかった。
いろんな思いがごちゃ混ぜになり、
温かい雫が頬を伝う。
俺は………泣いてる、のか?
次から次へと溢れるそれは、シーツに小さい染みをいくつもつくっていく。
涙を流すのは、いつぶりだろう。
泣くことなんて、もう一生ないと思っていたのに。
「ハハッ……一度泣きだすと止まらないというのは……本当、なのだな……」
こんな情けない姿、誰にも見せられない。
家族にも、部活の仲間にも、
もちろん、桃香にも。
────桃香がいつ起きるかわからない状況の中で、俺は声を押し殺して泣き続けた。
.