この胸いっぱいの愛を。
〜桃香side〜
「おはよーアユ!」
「モモ、おはよ♪」
私は教室に着いて、真っ先にアユのところに向かった。
「相変わらず仲良いね〜」
「へっ?」
仲良いって………
誰と誰が?
「もう!あんたとお兄さんに決まってるでしょっ!」
私と将兄!?
アユはニヤニヤ笑いながら、戸惑う私を楽しそうに眺めている。
何がそんなに楽しいんだか……
と、いうよりも。
「私今日、教室来る前にアユと会ったっけ?」
絶対、会ってない気がする。
なのにアユは、私と将兄が一緒にいたところに出くわしたかのような言い方だ。
見かけたなら、声かけてくれれば良いのに。
「無理無理。
だって、見たのここからだし」
アユがそう言って指差したのは、校門付近がちょうどよく見える窓。
「外眺めてたら、偶然見えたのよねー。
一瞬、カップルかと思っちゃった♪」
「!?!?」
カカカ、カップルって………
「なんで!?」
手ぇ繋いでたわけじゃあるまいし!
「だって、仲良しオーラが出てたもん」
「仲良し、オーラ………?」
なんですか、それ。
私が首を傾げたのとほぼ同時に、教室の扉が勢いよく開かれた。
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