砂漠の王と拾われ花嫁
昨日、失態を見せてしまって会うのが気まずい。


「出なくてはダメなの?マハル」


「はい 殿下の言葉は絶対ですから」


マハルは莉世を気遣う笑みを向けた。


莉世は大げさに溜息を吐いたのだった。



* * * * * *



香油のマッサージで終わりかと思いきや、宴の為の仕度に時間を取られた。


髪をいじられながら、手と足の指のマッサージの後、金色のマニュキアが施される。


莉世は人形のようにされるままにイスに座っていた。


なぜ宴に出るのか・・・莉世は不安だった。


「さあ、出来ましたよ 姫様」


ぼんやりしていると傍で監督していたマハルが言った。


「えっ?」


「さあ、どうぞこちらへ」


マハルに手を差し出され導かれるままに莉世は等身大の鏡の前に立った。




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