砂漠の王と拾われ花嫁
困惑していた顔がふくれっつらになったのを見てラシッドは心の中で笑う。


とんだじゃじゃ馬姫で、負けん気の強い姫だ。



手首はかなり痛むだろうに。


まさか自分が席を外している間にタヒールにそそのかされて踊るなどと思わなかった。



タヒールの縁談攻撃から逃れ、庭を歩いている時、カシミールからの報告を受けて急いで戻ったのだ。



ラシッドは舞っている莉世を見て一瞬目を奪われた。



相手の男の舞いも見事だったが莉世の舞は力強く、美しかった。



いつの間にこんなに美しく舞えるようになったのだろう。



だが左手の動きが鈍い事を見て取り慌てて中断させたのだ。




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