砂漠の王と拾われ花嫁
「私が良いと言うまでこの部屋から一歩も出てはならぬ わかったな!」



ラシッドは莉世が心を開かず話をしない事に腹を立てて言い放つ。



入り口に控えていたマハルがビクッとするくらいだ。



「・・・・」


莉世は俯(うつむ)いてシーツを見つめていた。


ラシッドは莉世の寝室から出て行った。



ポタッ・・・


涙がシーツに落ちた。



莉世は右手の甲でごしごしと目を拭く。




「姫様、横になられてくださいませ」


莉世は言われたとおり人形のようにシーツに身体を横たえた。


マハルが体の上に布を静かにかけた。



< 156 / 491 >

この作品をシェア

pagetop