砂漠の王と拾われ花嫁
「そうよ その姫君 数日前に厩舎で馬に襲われたらしいわ」



ファティマは兄の驚いた顔を見て心の中で笑う。



「それで容態は!?」


いつも冷静な兄が慌てている。



ファティマはおかしくてたまらない。



「召使いが噂していただけだから良くわからないわ」



ファティマ自身、自分の召使いから馬に襲われたとだけしか聞いていない。


「何てことだ!」



タージルは乱暴に立ち上がると執務室から出て行った。



「まったく気に入らないわ どうしてあの娘ばかり皆はちやほやするのかしら」



執務室に残されたファティマは兄の様子を見て苛立った。



「まだ、殿下もお返事くださらないし あんな子、馬に蹴られて死んじゃえば良かったのよ」



そういい捨てるとファティマも執務室を後にした。



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