砂漠の王と拾われ花嫁
「お兄様っ!」


厩にいたラシッドを追いかけて莉世が姿を現した。


ラシッドは一人ではなかった。


莉世の天敵といえるアーメッドがいた。


水色のタフタの下に黄色いロングパンツをはき、アラビアンナイトに出てくるお姫様のようだ。


あれから4年が経ち、莉世は17歳になった。


「リセ、勉強は終わったのか?」


莉世はへへっと笑って答えなかった。


おおかた抜け出してきたのだろう。


誤魔化す莉世を見ていたアーメッドは大げさにため息を吐いた。


その溜息の吐き方に莉世はムッとなる。


「そのさぼり癖は直されたらいかがですか?」


子供でもあるまいし。


と、アーメッドが言うと莉世は舌を突き出した。




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