砂漠の王と拾われ花嫁
* * * * * *




ファティマは上機嫌にドレスの仕立て屋に身体を計らせていた。



「寝る間も惜しんでドレスを仕上げてね?」



その言葉に仕立て屋の女性はムッとしたが、高貴な身分であるファティマには何も言えない。



「・・・はい」



仕方なく急がねばとファティマのウェストに計る紐を回した。



そこへ慌てた様子のタヒールが入って来た。



「ファティマ!」


父親の額からは流れるような汗を見た。



「お父様、どうしたのですか?そんなに慌てて」



ファティマはいつもと様子の違う父親を見て仕立て屋と召使いを部屋から出て行くように命令した。




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