砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドの住居の隣にある棟では宴が開かれていた。



男だけの宴なのだが、素晴らしい肢体を持つダンサーや酒を注ぐ美しい女はこういう席では必要不可欠で呼ばれる。



ラシッドは上座の絨毯の上に置かれた足の低いソファーにいた。



周りには美しい女性が座っている。



しばらくすると会場がざわめいた。



そのざわめきの素、1人の女がラシッドの元へやって来た。



「殿下・・・・」



ファティマだった。


真っ赤なドレスを着たファティマがラシッドの前に立つ。


「お前のような身分の女は立ち入り禁止だぞ?」



ラシッドがグラスを持ちながら言う。



ファティマは優雅に腰を低くしお辞儀をした。



頭を下げたまま口を開く。



「リセ様のご回復おめでとうございます 残念ですが殿下のお心が私に向かないのであきらめますわ ご祝福申し上げます それだけを言いたくてこの場にやって参りました」



言い終わるとファティマはもう一度頭を上げた。



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