砂漠の王と拾われ花嫁
「それに一人で出歩いたら叱られる」


カリムはお付がいないことを不思議に思った。


「場所は言ってあるからもうすぐアクバールあたりがくるはずだわ」


マハルは年だし、敏捷でない事を利用した。


アクバールはマハルの息子で警備副隊長。


今回のラシッドに付いて行っているはずだが、莉世はカリムが一人歩きをしている事を心配しないように言った。






「おや、姫君ではありませぬか」


しわがれた声が後ろでした。


莉世はハッとして振り返ると、色黒の恰幅の良い60歳代くらいの男が立っていた。


「タヒール大臣・・・・」


大臣の住まいから離れている厩舎になぜ?


この場所で自分たち以外、見たのは初めてだ。


タヒール大臣の後ろに息子のタージル、そして護衛が2人姿勢正しく立っていた。



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