砂漠の王と拾われ花嫁
「もういいですっ」


莉世は立ち上がると、ドレスの裾をひるがえして自分の寝室に戻ろうとした。


「待ちなさい」


立ち上がって行こうとした莉世の左手首をラシッドの手が掴む。


「っ・・・・・・」


あまりの痛さに声も出せずその場にしゃがむ。


「リセ?」


異常な反応を目の当たりにしてラシッドはすぐに放したのだが、莉世は座り込んだまま息をつめて痛みを堪えていた。


「リセ、どうしたのだ?見せなさい」


「ぶ、ぶつけただけです」


左手首を見せまいとする莉世。


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