砂漠の王と拾われ花嫁
「わたしはお兄様の奴隷じゃないっ」


「奴隷?もちろん奴隷ではない いい加減にするんだ 手首の痛みで苛立っているんだな」


ラシッドは莉世を抱き上げると部屋の中へ戻った。


莉世をイスに座らせた時、侍医が部屋へ入ってきた。


アーメッドは入り口に立っている。


男性はむやみに女性の寝室には入れない規則になっている。


「いかがなさったのですか?」


莉世はよく侍医の世話になっていた。


剣舞で生傷がたえないせいだ。


「リセの左手首が腫れあがっている」


莉世は膝の上に両手を置いたままうつむいている。



< 78 / 491 >

この作品をシェア

pagetop