「誰?」

「……あ」



一度クラスに顔を出したことがあるからといって、みんなは阿部麻里亜のことを知らない。

阿部麻里亜を紹介してもいいのだろうか?

……よし、苗字はやめよう。



「麻里亜さん、3年生なんだ」

「なによ、いつもフルネームで呼んでるくせに。もしかして気使ってたりするの?」



あぁするさ。

傘の件から本名言うことためらってるよ。

いつもつい思わずフルネームで呼んでしまうけど。



「阿部麻里亜です。要くんとはQさまのこと絡みで仲良くしてます」



自ら名乗ったアベマリア!!

いいのかよ!

大丈夫か?

俺は変な汗を書いて焦る。



「ちょ、おまっ……」

「大丈夫、吹っ切れたから」
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