「神崎さんの歌を初めて聞いた時、素質を感じた。この子はいける。どこまでものし上がれるって」

「そ、そうか?」

「いつの間にか虜になってた。自分もファンの一員になってたの」


マネージャーがファンに……。

一番近くにファンがいたんだな……。


「正直、やめてほしくなかった。続けて欲しかったけど、一方で傷ついてることも知ってたから受け入れた」

「……そうか」


俺がやめてもあまり変わりはしないだろうと思ってた。

でも実際はいろんな人に心配をかけていた。

歌手をやるということは、多くの人の気持ちを俺の判断で大きく変えてしまうということなんだ。


そんなことを、歌手をやめてからやっと知った。
< 335 / 410 >

この作品をシェア

pagetop