音楽バカ
―「「こんにちはー!」」
ざっと見て30人以上の団体にあいさつされて思わずびっくりする。
が、自分もそれに負けないくらい大声で返す。
「こんにちはー!」
楽器を持った中学生がどこを見ても歩いている。
ついに来てしまったのだ。
「これがコンクール…」
出場校の生徒や顧問、手伝いの高校生など周りはどこも慌ただしく動いている。楽器運搬を終え、楽器を組み立て終わった希良は、ただただその空気に呆然としていた。
え……と、次は何をするんだっけ?
気がつくと周りに自分の部員がいない。
ど、どうしよう?!
慌てふためくと、後ろからぽんと肩に手が乗せられた。
「ひッ」
びっくりして小さく悲鳴を上げた。後ろを振り向くと遙が困ったように笑って立っていた。
「そんな驚かなくても…」
「すいません!!」
頭を下げながら小さく震えているのが自分でもわかった。
それを見破ってか遙はふと真顔になって言った。
「場の空気に飲まれちゃいけませんよ。」
希良は一瞬押し黙った。
が、すぐに自分もいつもの感じを取り戻す。
「……はい。」
きっと怖いのは自分だけではない。
みんな一緒。
みんな怖いんだ。
だから頑張れるんだ。