ホットレモンの憂鬱

暇そうだからじゃない。

自惚れとか…。

期待とか…。

少しでも意識してくれてたんだって思ったら、勝手に口から出て来た言葉に俺も驚いた。


ただ、何も言わないで黙り込む真愛が。

次に何て声にするのか怖くなった。


これで…、振られたら…。

もう、一緒にいられないって。


胸が締め付けられた。



『…なーんてな?冗談だよ…』

『…何よ、…大樹ムカつくーっ!』

俺の背中を思いきり叩いた。


『本気にした…?』

恐る恐る聞いてみた。

『まさか。しないよっ』

って、答えた。


良かった…、ごまかせて。

良かった…、闇に包まれていて。


目頭に熱い物が込み上げて来そうになった。



俺…、あの時も。

気持ちを隠すのに必死だった。


だけど…、あの時にもし…、もしも…。



真愛の答えをきちんと聞くことが出来ていたら。


こんなことにはならなかったよな…?


情けないよなぁ…。
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