旦那様は高校教師


「先生、どうして此処へ?」



私の質問に、次郎を撫でる先生の手が止まる。



「俺、直ぐ其処に住んでて、たまに此の辺をジョギングしてるんだよ」



先生は人差し指で南の方を示す。



意外と言うか、大発見と言うか…。



先生がジョギングしてるなんて驚いちゃった。



此のラフな格好も、ジョギング用のユニフォームって所かな?



「人影が近付いて来た時は凄く怖かったけど、先生で良かった…」



思わず安堵の笑みが零れる。



「夜に犬の散歩をするのも良いけど、人通りが少ないから気を付けないと危ないぞ?」



先生は優しく諭すように語る。



「はい…でも散歩は私の息抜きみたいなものだから…」



自然と溜め息が漏れる。



先生?夜の散歩は、危ない事もあると充分に分かってます。



だけど、私の居場所は此処だけなの。



お願いだから…私から此の場所を奪わないで下さい!!





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