旦那様は高校教師


好きな人に朝ごはん作って貰うなんて、何か良いもんだな!?



俺、こんなに幸せな朝は初めてだよ。



楽しそうにパンを焼き、コトコトとコーヒーの準備をするほたるに、つい見惚れてしまう。



気が付くと、俺はほたるを後ろから抱き締めていた。



「起きたらほたるが居ないから心配した…」



俺らしくない子供っぽい言葉が口を付く。



「ごめんなさい…」



ほたるは俯き、声に力がなくなる。



ごめん…そんな声を出させたかった訳じゃないだ。



俺はほたるを自分の方へ向かせ、さっきよりも強く抱き締めた。



小さくて細い体が消えてしまいそうで、抱き締めていないと不安になる。



「心ちゃん、もうすぐパンが焼けるよ?」



無邪気な声が胸へ伝わる。



「分かってる。でももう少し此のまま…」



俺はパンが焼き上がるまで、ほたるを独占した。





< 198 / 743 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop