ＳＥＡＳＯＮ
「思えば捺未って電車で来てるよね？家ってどこ？」

だから千鶴に真っ直ぐ見つめられると答えないわけにはいかなくなる。

「今、佐野って所にアパート借りてる」

「佐野？」

「電車で20分くらいかな？そこに住んでる」

「へー。アパートってお兄ちゃんたちも一緒に住んでるの？」

「ううん、みんな大学に入った途端１人暮らし」

千鶴は多分あたしが親と一緒に住んでると勘違いしてる。

まぁ、普通は一緒に住んでるものだけどあたしの家はかなり複雑でね、訂正するのもめんどくさい。

「１人暮らしっていいよねぇ、早く１人で暮らしたい！今からでもいい！」

「あー愛菜も！」

２人の言葉に笑いながらテーブルの上にあるお菓子を１つ手に取る。

「朱理は出来ても愛菜は無理っぽいと思うけどなぁ」

「朱理は出来てなんで愛菜は無理なのー？」

あたしの言葉に頬をフグのように愛菜は膨らます。

「いや、朱理はしっかりしてるからできそうだなぁって思って。でも愛菜は朝、自分で起きれないでしょ？」

入学してこれまで何度も愛菜が寝坊して朝ご飯食べる時間なかったぁって嘆いてる姿見たからね。
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