プリンセスゲーム
「お呼び下さいと言うけど…」

余計ためらってしまう。

「お嬢さま。
わたくしたち執事は主の忠実な僕。
主に命じられる事が何よりの喜び。
物のように使いこなしてこそ主の技量と言うもの。
どうぞ何もお気になさらず何なりとお申し下さい」

真摯な態度で言われると、さすがに恥ずかしくなっちゃって反論どころか二の句が続けられなくなる。

「う、うん。
なるべく期待に添えるように頑張るからよろしくね」

期待ってなんなの!?と心の中で叫びながらも、赤面してしまう顔を隠すのも忘れてぎこちなくダイニングへ続く道のりを歩きながら、何時までごく普通の標準的な家に生まれ、当たり前に育った私をお姫様のようにちやほやさするサービスにお付き合いしなくてはいけないのかと…

悪い気はしないけど、敬語ぜめにはちょっとむずむずしてしょうがなかった。
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