スイーツな恋
非常階段に行くと、先客がいた。

ビッチ女だ。
ビッチ女と翔馬が談笑している。

翔馬が楽しそうにけらけらと笑っていた。
ああいうのを満面の笑みっていうんだろうな。

そんな翔馬の笑顔をみたのははじめてだった。
わたしにもみせたことのない笑顔をビッチ女にはみせている。

やっぱり、ふたりはつきあっていたんだ。
もしかしたら、いまも。

きっと、そうだ。
だから、翔馬は前カノのことをきいたときお茶をにごしたんだ。

ううん。もしかしたら、わたしが遊ばれていただけだったのかもしれない。
わたしがつきあってるって勝手に思い込んで舞い上がっていただけだ。
バカみたいだ。

気づくと、涙が頬をつたっていた。

わたしは耐えられなくなり、その場を去った。

そして、誰もいないところでおもいっきり泣いた。

わたしに見せなかった翔馬の満面の笑顔をビッチ女には簡単に見せていることが悔しくてうらめしかった。
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