スイーツな恋
第三章 約束

翔馬に案内されたのはラブホテルの前だった。

「待って、ラブホテルって!!」
わたしは躊躇する。

「なんで、イヤなの?」

「だって、今日は初デートだよ。告白だってまだだし、メールのやりとりもしてない。
そうなるには、キスとか、いろいろと段階を踏んでからじゃないと…」

その時、唇を奪われた。
彼の唇の感触が伝わってきた。
一瞬のことで、何がなんだかよくわからなかった。

わたしの唇から離して翔馬が微笑んで言う。
「ほら、一段階進んだから、いいだろう」

うそっ、ファーストキスが、ラブホテルの前なんてありえない!
もっとロマンチックなものを夢見ていたのにっ!!

翔馬は、ショックで呆然としているわたしの肩に手をまわして
ラブホのなかにいざなっていく。

「待って、駄目だよ」

わたしは、なんとか逃れようとした。
誘われたのは嬉しい。でも、そこまで心の準備ができてない。

「なんで!?」
翔馬が怪訝そうな顔でみる。

「だって、それは…、それは…、わたし、タバコ嫌いなの!」

「へっ?」翔馬はきょとんとする。

「こうしましょ。あなたが2週間、禁煙できたらいいわ。
できたら、わたしのすべてをあなたにあげる」

「何だよ、それ?ありえねえ」

「わたしのこと、大切にするっていう証をみせて」

「こんなの初めてだぜ。はははっ!」翔馬は腹を抱えて笑った。

「でもさ、俺がお前のみてないところでタバコ吸ってたらどうすんの?」
「それはない。わたし、人を見る目はあるの。あなたはそんなセコイまねする人じゃないって分かるの。」

その日はそれでお開きになった。





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