君との期待値
「拓真……ね、もう前みたいに私と話せないんだって。
部活も、私の傍にはいれいから陰でするんだって」
止まったはずの涙が零れそうになり上を見上げる。
思ってるのも辛かったけど、口にだすともっと悲しい。
「もう一緒に笑ったり楽しんだり出来ないんだよ。
何でだろうね。
嫌われちゃったのかなぁ」
笑って少年を見る。
精一杯悲しみを抑えるけれど、もう瞼の奥はいっぱいいっぱいでこれ以上喋れない。
彼も、何かを考え込むように口を開かない。
空を見上げた。
冬の、高い空を。
夏と同じはずの太陽なのに、どこか違って見える。