君との期待値
「じゃっ、拓真。話が済んだら呼んでねー。
私、園芸部の庭園にいるから」
「ありがとうございます」
「じゃあごゆっくりーん」
ニマニマ口元に手を添えて満面の笑みで琉花先生は出て行ってしまった。
私の頭は状況についていけてなくて、混乱している。
体も口も動かずにただそこにいる少年を見つめた。
「籠原」
そう呼ぶ久しぶりに聞いた声に、まるで金縛りが解けたように私の口が動いた。
「あ、えと…久しぶりだね」
「ああ」
短く答えた少年の目が少しだけ細くなった。