恋だったよね


ユウキは部屋の前で立ち止まった。
自分に何かを言い聞かせるように2、3回頷いてから部屋の中へ入った。




「まだ…起きてたのか」




ハルトはベッドに座っていた。
ユウキは自分のベッドに向かって歩きながら言う。




「俺さ…」




ユウキはベッドの上に横になった。
ハルトには背を向けるようにして。




「マヤに告ってきた」




ユウキはそれ以上何も言わなかった。
ハルトに背を向けているからハルトの表情はわからない。




「そっか」




ハルトのその声からは一切の感情が読み取れなかった。
怒っているのか、喜んでいるのかわからないような声だった。




2人はその後何も言わず、ただ黙っていた。
不気味な程静かな夜だった。




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