逢いたい時に貴方はいない
私の胸をワシズカミしている部下の背中に軽く蹴りを入れると

『おい、ちょっとタバコ買いに行くべっ』
と、一言いった。

振り返る部下くんは、目を万丸くして、少し上擦った声で返事をした。

『…は、はい』

それも、その筈。
秋山さんは 今まで見せた事がないような表情をしていた。


怒って…るの?


『お前は、俺の席に座っとけ。』

「え…でも」と、いいかけたのも すぐに遮断するかのように

『わかったか!』と、少し強い口調で言った。


「う…うん」


思わず 頷いた。



なによ…
さっきまで あの女とイチャツイテタ癖に!
いきなり不機嫌になってみたり…

わけわかんないっつうの!!


と、ブツブツ言いながらも…

私は さっきまで秋山さんが座っていた席へと移動した。

私が席につくなり
近くにいた山崎さんがこう言った。


『あ~あ。怒らせちゃった』

「え?私?」

『最初に近くにこなかっただけで、スッゴイイライラしてたんだよ~秋山さん』


え?
そうだったの?



なんだか嬉しくなった。


怒らせて 嬉しいなんて、なんか変だよね…
でも、自然とニヤツイテしまう私がいた。




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