不思議トワエモア
第二話



 最近、私に大きな生き物が懐いている。


 それは授業間の休み時間にふらりと現れたり、同じクラスで友達の笹宮 薫(ササミヤ カオル)と学食で昼を食べていると話し掛けてきたり、……まぁ、「何食べてるの?」とかそんな他愛ない事を訊いてくるだけなんだけど。


 ──とにかく。

 その生き物との遭遇体験を話しだすとキリがないくらい学校で頻繁に会い、そして私に話し掛けてくるのだ。

 以前はこんなに会う事も、ましてや話す事もなかった。


 私はその生き物に懐かれる様な素晴らしい行いをした覚えは…………ない。

 残念ながら。


 そのせいか、最近考える事といえばその事ばかりで、授業中とか、寝る前とか、ついついそれを思い浮かべてしまう。

 そのくらいその生き物は興味深く、そして……面白い。

 あっ、あと時々可愛い。
 実はたまに仕草がツボだったりする。




 今日もそんな事を思いながら職員室に用があるという薫を廊下で待っていると、


 …………あ。

 少し遠くの方でひょろりと背丈のある噂の生き物が視界に入った。
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