不思議トワエモア

「―――あの…」

「え!?あ、ごめん!直ったよ」


 つい、本当につい、時間も忘れて私は鹿島君の髪を撫で回してしまっていたらしく。

 戸惑いを含んだ声が耳に入り、咄嗟に手を退けた私の視界に耳を紅に染めた鹿島君が映った。


 あれ、ちょっと触りすぎた……?失敗した、かな………それにしても鹿島君の髪柔らかかったぁ……って、変態みたいじゃん私。





「葵ーー!」

「グエッ!」


 突然、廊下中に響くような大声が聞こえたかと思うと同時に、私は勢いよく誰かに抱き付かれて首を絞められた。


 く、苦しい……この声に、この絞め具合、

 ───一人しかいない。





「……薫」

「はーい、薫ちゃんですよー!」


 何時もの高すぎるテンションで話し掛けてくる薫に私ははぁ…と溜息をついた。

 その異常な高さを目の当たりにした鹿島君は驚いているみたい。
< 15 / 18 >

この作品をシェア

pagetop