カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 それとも殺されるのを待ってるの?


 私が台所で夕飯の支度をはじめようとすると、夫がトイレから出てきた。


「またケータイ忘れてるわよ、憲三さん」


「すまないな」

 夫はうっかりとばかりに頭を掻く。


 ケータイを渡したあとの私は能面のような顔になる。


「どうしたんだ、純子?」

 夫が不審そうに尋ねる。


 私は後ろ手に持っている包丁を力強く握り直した。


       <了>

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