俺のココ、あいてるけど。
 
すっと姿勢を正した登坂さんは、手持ちぶさたなのか腕時計をいじりながら話しはじめる。


「何から話せばいいのかな。・・・・俺と麻紀は大学の同級生だった」

「はい」


うん、大丈夫。

受け入れられる、あたし。


「俺が一目惚れして、なんとか友だちになることに成功して。それから告白。二十歳のときにつき合いだしたんだ」

「はい」

「よくケンカもしたけど、すぐに仲直りができた。・・・・長澤も一度会っただろ? 二十歳って言ってもまだまだガキで、歩美が仲裁してくれたりしてな」


そうだったんだ・・・・。

歩美さんって登坂さんと麻紀さんの共通の友だち・・・・だからあんなに必死だったんだ。


「それで、卒業後は、麻紀は地元就職、俺は東京っていうふうに遠距離になるはずだった」

「はい」

「でも、就職したら俺の配属先は麻紀の地元。スーパーからも近かったし、同棲を始めたんだ」


同棲・・・・。


「驚いただろ」

「はい。・・・・あ、いえ」

「なんだよ、それ」

「すみません・・・・」
 

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