俺のココ、あいてるけど。
 
「“嘘も方便”・・・・ですか?」

「そうだな。さすがに30分も戻ってこないと気になって仕方ない」

「すみませんでした・・・・」

「いや。別に」


・・・・どうしたんだろう、今日の登坂さんはよくしゃべる。

人が変わったみたい。

まだムカムカするお腹をさすりながら、不思議に思うあたし。

すると・・・・。


「まだ気持ち悪ければ外の空気でも吸ってきたらどうだ? そのついでに帰ってもいいし」


店長の熱唱に大盛り上がりのみんなを顎で指しながら、登坂さんは“1人帰っても分からないから”という顔をする。


「でも・・・・」


でも、せっかくあたしたちのために開いてくれた歓迎会なのに、先に帰るなんてできない。

それに、夜道はちょっと怖い。


・・・・どちらかといえば、帰れない理由は後のほう。

この辺りの地理もよく分からないし、自慢なんてできないけど、あたしはかなりの方向音痴だった。

部屋に帰りつけなかったらどうしよう・・・・と、一気に不安になる。


「あぁ、長澤は女だもんな」
 

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