俺のココ、あいてるけど。
 
「ほら、起きろって。長澤の家はどこだ?」

「う〜ん、桜町3丁目・・・・」


どこだよ、それ・・・・。

それも束の間。

こうして送り届けているのはまぁいいとして、肝心なことを知らなかった俺。

一人暮らしだとは聞いていたが、どこに住んでいるのかまでは分からなかった。


「あ、従業員名簿・・・・」


長澤は起きる気配もないし、そこら辺に置いておくわけにも、もちろん俺の部屋で休ませるわけにもいかない。

そこで閃いたのが、従業員名簿。


「確か契約書に・・・・」


スーパーの事務所に戻り、長澤の住所を探した。


「あった!若葉町5丁目、コーポ花鳥20・・・・はっ?」


椅子に座ってこっくりこっくり頭を揺らす長澤を二度見、三度見。


「隣の部屋って・・・・」


長澤の住所は、俺の隣の部屋。

朝も早く帰りも深夜の俺には、隣に住む人がどんな人かを知る時間もなかった。

隣近所ちらほらと空きがある社宅は、言っちゃ悪いが古くさい。

男しか住んでいないと思っていたのに・・・・。
 

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