俺のココ、あいてるけど。
 
その日、布団に潜ってもあたしはなかなか眠れなかった。

それはもちろん、さっきまで寝ていたせいもあるけど、それとはまた別にあった。





夢の続き・・・・「でも───・・」に続く言葉は何だったんだろう。

それをずっと考えてしまうんだ。

でも、どうしてだろう。

あのとき中途半端に目が覚めたことを除いても、どこか心に引っかかって落ち着かない。


「麻紀さん・・・・」


“麻紀”さん・・・・その人が登坂さんがつき合っていた彼女の名前。

そうなのかな。


「気になる・・・・」


夢で聞いた“麻紀”という名前、それも頭から離れなくてどこか落ち着かない。

考えだしたらきりがないことくらいあたしにも分かるんだ。

“夢だった”と答えを出せば全て納得がいくこと・・・・だって“夢”は“夢”でしかないんだから。


でも───・・。


どうしようもなく気になるこの心は一体どうすればいいんだろう。

簡単には忘れられそうにない。

あたしの手には、登坂さん温もりがまだかすかに残っていた。
 

< 85 / 483 >

この作品をシェア

pagetop