俺のココ、あいてるけど。
 
誰からも責められたりしないし、ほんの一部だけど、その人が辞めて喜んでいる声もあった。

店長や登坂さんは、そのことには“済んだことだから”と何も言わなかった。


でもね・・・・。

辞めたと知ったとき、すごく複雑な気持ちだった。

あたしが辞めさせたんだ、って、そう思ったんだ。

いい人間関係を築くのって、本当に難しいことなんだよね・・・・。


『未来、あんたは気にしすぎ。私だったらせいせいするけどなぁ、辞めてもらって』

「かもね・・・・」

『でもまぁ、登坂さんだっけ? その人がいろいろと世話を焼いてくれたんでしょ? 信頼できる上司がいてよかったね』

「うん、そうだね」


小百合には登坂さんのことを話してあった。

歓迎会でのことや、倒れたときに助けてくれたこと、何度感謝の言葉を伝えても足りないくらい。

小百合が言う通り、一番信頼できる上司が登坂さんなんだ。


『それはそうと、荷物の準備は進んでるの? 明日からでしょ?』

「あ、そうだ、急がなきゃ!」


明日から社員研修が始まるんだ。
 

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