スリー・イヤーズ・カタルシス



本当に




空耳なんじゃないか



と思うような



小さな音だったけど



それは女の声で



押し殺すような泣き声だった。



きっと吐き気のせいで



耳の感覚だけが



やけに鋭くなっていたんだろうね。



その声は



ビルとビルの



細いすき間から



聞こえているようだった。



おれはそのすき間を



のぞいてみたけど真っ暗で



だけどそこから



声がするのは確実だったから



体を横にして



そのすき間に



入っていったんだ。




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