きっとここで君に出会うために
「わー響ちゃん泣かないで」
そう言われて初めて気づいた。
あたし泣いてるんだ。
泣いたのなんて何年ぶりだろう。
お姉ちゃんが死んでから、あたしは泣かなくなった。
泣かなくなったはずなのに、
もう泣かないつもりだったのに。
こいつのたった一言で崩された。
あたしは誰かにそう言ってほしかったんだ。
そう言ってほしかったんだよ、お母さん。
あいつは歩み寄ってあたしを抱きしめてくれた。
「やっぱ泣いてもいいよ」
「どっちだよ‥‥」
最後のほうは言葉になってなかったかもしれない。
静かな公園にはあたしの泣く音とあいつがあたしの背中をさする音しか響いていなかった。