きっとここで君に出会うために



家まであとちょっとというところで気づいた。


家の前に誰かいることに。



暗くてそれが誰なのかはわからない。


自然と手に力が入る。



だんだんと近づいて行ってうっすらと顔が見えてきた。




「‥‥お母さん」


「響!!」



あたしの小さな呟きに気づいたみたいで、

駆け寄ってくる。



「どこ行ってたの?家に帰ったら誰もいないし、心配したんだから」


「ごめんなさい」



お母さんがこんなに早く帰ってくるなんて思わなかった。


異常なまでに心配する。


それが重い。



あたしだってもう高校生だ。


その心配は重いんだよ、お母さん。



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