ストロング・マン
仕事をしていてもふとした瞬間に尚とのことが頭をよぎって、集中するのにすごく苦労した。
こんな日は時間が経つのがすごく遅く感じるものだ。
まだ、14時か・・・定時まで3時間半もあるなあ。
ふうとため息をついたと同時に、肩をぽんと叩かれた。
集中していなかったため、急なことにかなり動揺してしまい、思いきりびくついてしまった。
やばい、と思って今更だが一応平静を装って振り返ってみると、
「ぶっ、お前集中してなかったろ。」
そこには、肩を小刻みに震わせて笑いをこらえている修也がいた。
「ちょ、驚かさないでよ…!」
「集中してないお前が悪いんだろ?」
にやっと口の端を上げて微笑む修也に嫌気がさす。
こいつにはいつも変なところ見られてばかりだ。
「なんでここにいるの?」
「ちょうど打ち合わせがあって来てたんだ。
ゲストカードもらえたし、せっかくだから郁の顔でもみていこうかと思って。
ちょっと休憩付き合ってよ。」
私たちの社内はフロアごとにセキュリティロックがかかっていて、入室にはカードが必要なのだ。
うちに来る人はフロアに入室する際、担当の者に入れてもらうか、ゲストカードの申請をするかの2択がある。
修也は後者を選んだらしい。
ちょうど集中出来てないし、付き合うか。
2人で前に使用した休憩スペースに向かった。